灼熱の登窯にて

この茶碗と地蔵は、私の宝物の中でも特に思い入れのある焼物です。

地元滋賀の信楽の登窯にて作陶されたもので、陶房の名前は土の子窯 皆川陶房。

信楽焼きの独特な風合いが素朴で、深い趣きを感じる作品を作っておられます。

先日、友人への贈り物を探しに行った際、今年は夏に窯の火入れをするからと見学にお誘い頂きました。

初日に御神酒を頂き、薪を焚べる作業を見学し、窯の構造や歴史を聞きながら、とても神聖なものであることを改めて感じる貴重な時間となりました。そして、3日後に窯が1200度を超えたタイミングで灼熱の窯焚きを体感するこに。

想像以上の灼熱の中、ご家族で交代しながら5日ほどは不眠不休の壮絶な作業。その過酷さは、私の想像をはるかに超えるものでした。

これまでTVなどで編集された映像でしか見たことのなかった登窯の窯焚きは、おおよそ、たまに薪を焚べながら火の守りをされている地道なゆっくりした作業だろう…と想像しておりました。しかし、現実は3分に一回のペースで灼熱の焚口に重い薪を何本も投入し、常に温度を監視し続ける過酷な数日間を不眠不休で行う壮絶な作業だったのです。こなしておられる真っ最中は、話しかけるのも気が引けるほど集中されていました。また、薪が無くなるスピードはとてつもなく早いため、常に薪の束を運び入れる作業もあり、重労働という言葉では片付けられない仕事でした。

私達が滞在したのは3時間程度。手伝えるのはせいぜい薪運びくらいなのですが、灼熱の窯横で薪を運ぶだけでも尋常でない量の汗をかき、これだけでもバテそうでした。

交代の合間などに初代の窯元の資料や文化の裏話、歴史上の著名人の名前もたくさん出てくる面白いお話をお聞きしながら、北大路魯山人の貴重なうつわなども見せて頂き、同伴した息子も興味深く見入っておりました。

私は照明を作る仕事をしていますが、そこには考案、制作、販売に至るまで、手順が大きく異なるモノ作りがそこにありました。

当社の照明も一つひとつ手作りといえど、1つの商品を思い立ってから制作完了までに有する時間や手間は、登窯の陶器とは次元が違うことを改めて感じる見学となりました。

自分の仕事とは比べることができない、真似もできない、そんなモノ作りだからこそ強い憧れを抱く作陶の世界ということです。

皆川さんは、うちの照明研究所に遊びに来られたこともあり、窯焚きしながら「村井さんの仕事場に窯作る場所ありそうやね、作ろうか」と冗談を。

まんざらでもない自分と、呆れる息子。

将来、自分がお爺さんになったら、趣味を陶芸と言っている可能性もなきにしもあらず。