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空気に色をつける道具。
ここでの“道具”とは、照明器具のことを指す。

私は20年以上銅照明を作り続けているが、デザインを起こすときに自問自答していることが2つある。

「その場にちょうどよい姿かたちになっているか」
「人の想いを照らせる照明器具になっているか」

銅でできた照明はその重厚感に強さを感じ、作り出す人の面影は優しくなくてはならない。
姿かたちは様相に余白を残しつつ、場にすっぽり納まる気持ちよさが必要である。
たかが道具、されど道具、銅照明を手で作り続ける理由がここにある。

我ながら面白くも難しい素材を手にしたものだとよく思う。

道具を使う場所には、なにかしらの意味や理由が必ずある。
そこにある人の想いに寄り添うような銅照明をこれからも作り続けたい。
そしてこの道具を手にした人達は、余白を遊び、しつらえを楽しむこととなる。
それが営みの一部となれば本望です。

村井賢治