




















薪火イタリアン
納屋として使われていた古屋をレストランへ改修するプロジェクト。オープンキッチンに薪場を構えるレストランの計画です。長年お付き合いのあるイタリアンレストランのオーナー様より、二店舗目として薪火イタリアンを作りたいとご依頼をいただき、レンガ造りの薪場のデザインをはじめとした基本設計から照明制作も含め全てお任せいただきました。
シンプルに調理された旬の食材と薪火特有の香りを想像し、炎と煙を繊細に操るシェフの調理姿から着想を得、店内外の計画やデザインを考えていきました。オーナー様のしつらえができる余白を残した空間となることを意識しデザインしています。イタリアで修行されたオーナーご夫婦ならではの思いや意図が組み込まれていくのが楽しみです。
オープンキッチンに設置した薪場はレンガ造りとし、熾火(おきび)や遠火で火入れができるように設計しています。客席から炎のゆらめきと食材に火が入っていく過程をお楽しみいただけるよう考えました。メインのカウンターにはオリジナルの銅製LED照明を制作。大きなカウンターサイズに合うインパクトのある照明となるようデザインしました。レンガ造りの薪場と調和するよう、風合いのある表情を特殊技法で色付けています。カウンタ-の大きな天板にムラ無く光が当たるように配光角度にもこだわりました。
壁や天井は漆喰と顔料を組み合わせた仕上げに。ベースにゴールドを仕込み、グレイッシュなダークトーンのトップコートを塗り重ねることで、シックな色の中に光の当たり方でところどころほのかに光って見える仕上りを施しました。コテで塗り重ねたラフさも感じられる仕上げとしています。
薪場の大型のレンジフードは、スチール製のものをオリジナルで制作。調理に合わせた強制給排気が出来るよう設計しており、薪料理に必要な空気と煙の流れを操作できる機能的なレンジフードです。
外観は風景に馴染む佇まいを意識し、総板張りとしました。
今回のプロジェクトでは、元々納屋だった趣を残しつつリノベーションをすることと、オーナー様の思いが込められていく余白を作ることにフォーカスし、進めていきました。そして、オーナーシェフ自ら考案する地場産の食材をふんだんに使った独創的な料理が楽しめる薪火イタリアンとして生まれ変わりました。当時のままの柱や梁の見える落ち着いた雰囲気となつかしさが漂う店内で、薪火の熱と薪の薫香に包まれる特別な食体験をお楽しみいただける空間となることと期待しています。
Atelier Key-men担当箇所:基本設計、照明デザイン・制作・取付、内装デザイン・一部施工、薪場デザイン、薪場の空調システムの設計