嵐山へ手紙を書くために行きました。 その2

手紙を書く人の背中は、緊張感があり、とても優しく。

ここにいる皆が誰かの事を想い、
なんとなく心のなかにある感情を手紙に綴る。
感情に近し言葉を少ない日本語の中から選んで繋げて。
机の上にある電気スタンドと手紙があれば、そこは個室のように感じるからでしょうか、皆がいい緊張感の中で集中されておりました。
ただ私はじっと見守るだけの展覧会。
この展覧会は、銅の照明展です。
しかし、照明をただ並べて展示するだけでは物足らず、実際に使って頂く事で「私の作りたいモノ」を感じて頂ければ・・・と。
自己表現になるのか、職人なのか、私はあまり意識はしておりません。
ただ、本当に私にとっての照明とは、空気に色をつける道具であり、空間の脇役であるという事です。人にとって必要な道具として。
手紙を書くための電気スタンド。
手紙を書きたかった私は、その為に必要な道具をつくる事に。

 「星言葉」
手紙を書くとき、どこかを眺めながら言葉を探します。
数ある星の中から目当ての星を見つけるように。
だから、言葉を浮かべるために眺める小さな星を吊下げました。

 「コンパス」
方位磁石は、何処にいても必ず北を教えてくれます。
手紙の相手が何処にいるかを地図で探し、気持ちという磁石の針を相手に向ける。手元灯りに本物の磁石を浮かべました。

 「Function」
いつもペンが側にあり、メモや道具を引掛けるフックが一つ。
好みの角度に調節出来る。機能=Function
 
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私がつくった道具と空間を使って手紙を書いて頂く展覧会「手紙を書くため」で書かれた手紙は、いったいどんな内容なのでしょうね。
鎌倉では、大切な方々へは、もちろん。プロポーズのお手紙を出された方、展覧会が初デートだった方、亡くなられたご主人へ・・・関係がねじれてしまったご家族へ。。。様々だったようです。
今回の嵐山でも多くの方が、「書きたくてもタイミングが無かったから、いい機会になりました」と。
素直に嬉しかったです。
銅でつくった照明で会場の空気に色をつけ、ペンやインク・便箋や切手・・・必要なモノは全て用意されている展覧会。
近くには古い郵便局も。
便箋セットや葉書を購入してくださり、おすすめのペンやインクの使い方を説明させて頂き、お好みの電気スタンドのある席を選んで頂く。
あとは書いて頂く。
ただ、それだけの簡単な内容です。
昼間は、明るく電気スタンドは、手元を照らすというよりも自然光に優しいオレンジ色をつけ加える感じです。

ブルーのインクとガラスペンが人気でした。
席は、畳席が落ち着くようです。
ふみ机は鉄とガラスで制作し、天板右上に☆の切抜きがあります。


現在ディレクション中のDining bar「LOCUS」のメンバーや、お世話になってる社長さんも娘さんと来て下さったり。
尾賀商店のメンバーもみんな来てくれ。
そして・・・日が暮れてくると部屋の中が温かいオレンジ色に変わり始めます。
つづく